ウクライナ・ロシア戦争、利上げ、エネルギー価格の高騰、地政学的な制裁、サプライチェーンの混乱など、アジアにおける保険料の推移は、引き続きアジア企業のコスト上昇圧力となっており、インフレ率は高止まりすると予想されます。商品価格、借入コスト、賃金上昇の影響は、特に建設、不動産、ロジスティクスなど、業界全体に及んでいます。
インフレはまた、甚大な損害が発生した場合の財物保険や工場、機械の復旧など、事業復旧にかかるコストの上昇にもつながります。さらに近年は、保険会社が正確な資産評価と利益保険価額の計算を要求しており、自然災害による損失と復旧費用が上昇する中、報告された金額をつぶさに検証しています。
そのため、企業は適切な補償範囲による財物保険と利益保険(PDBI)を適正な保険料で確保するために、資産評価額と利益(BI)の申告額を最新かつ正確に管理するという、積極的な対策を取る必要があります。これを怠ると、補償が不十分となり、過小保険による損害が発生する可能性があります。
さらに、PDBI保険契約内の比例てん補条項の適用により、保険会社は資産に対する過小保険と同じ割合で保険金を減額することができます。これは、多くの場合、企業の損害からの回復を困難にさせます。
事業復旧のために正確な申告価格が重要である
リスク・マネジャーやビジネス・リーダーは、建築資材や人件費などの建築コストに対するインフレの影響とは別に、以下のような評価手法が資産の申告額に影響し、過小保険になる可能性があることに留意する必要があります。
- 再調達原価ではなく、市場評価額または帳簿価額を使用
- 昨年の申告額を使用する、もしくは単純に何%かを上乗せする
- 交換をしたいと考えている資産額での申告
逆に申告価格が実際の資産以上であれば、過剰保険となり、補償に対して保険料の過剰支出となる可能性もあります。