原 智昭
マーシュ ジャパン
リスクマネジメントは、テクノロジー業界では不可欠のツールです。なぜなら、この業界には非常に高いリスクが存在するからです。新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の間、私たちの世界がいかにテクノロジーの恩恵を受けているかが明らかになりました。多くの人が自宅を離れることができなかったとき、テクノロジーによって社会はある程度の活動を続けることができました。在宅勤務やデジタルコマースの機能に加え、ソーシャルネットワークのプラットフォームも利用できたためです。
テクノロジー業界において成功するには、急速に変化する市場でイノベーションがもたらす機会を捉える力が必要です。しかし同時に、関連して生じるリスクを管理する必要もあります。情報漏洩や機器・ソフトウェアの障害、その他のサイバーリスクに対し、ビジネス中断の影響を軽減するため、お互いに強調・協力してさまざまな取り組みを続けていますが、これらのリスクをゼロにすることはできません。
マーシュのグローバルテクノロジープラクティスは、お客様がリスクを評価して優先順位をつけそれらのリスクを管理・軽減するお手伝いをします。
テクノロジー企業は、サイバーセキュリティや情報漏洩から、業界における競争やデジタルビジネスの中断、ITレジリエンス、さらには人工知能の利用が一般的になるのと同様に、システムが旧式になってしまう恐れなど、さまざまなリスクに直面しています。最初の 2つのリスク、サイバーセキュリティと競争はおそらく、現在のテクノロジー企業にとって最も差し迫ったものでしょう。市場シェア獲得に向けた競争により、急速なイノベーションが推し進められています。そのため、ハッキングなどの不正アクセスの可能性をすべて特定して対処する前に、新しいテクノロジーが市場に投入されてしまう、といったことが起こっています。残念ながら、こういった状況により悪意のある利用者が自らの利益のために善意の製品やサービスを悪用することが起こり得ます。情報漏洩は、企業と消費者に深刻な影響を及ぼす可能性があり、戦略的なリスクマネジメント・プランが必要となります。
財物&利益損害・賠償責任や労働者災害補償(該当する場合)に関する保険など、事業主として手配する通常の保険に加えて、ソフトウェア会社にご検討いただきたいその他の補償もがあります。
まず、サイバー賠償責任リスク保険です。データ漏洩が発生し、そのために法的な費用を支払うことになった場合、その後の信頼回復のための資金確保に役立ちます。次は、専門職業賠償責任(E&O)保険です。会社の製品の性能に関する請求が発生した場合に役立つ場合があります。
最後に、知的財産に大きく依存する業界に合わせてカスタマイズされた身元信用保険も検討の価値があります。身元信用保険は、従業員が専有情報を開示した場合に会社と顧客に補償を提供するものです。
ソフトウェア会社と同様に、ハードウェア会社も、最低限、他のほとんどのタイプの企業と同じ保険が必要です。これには、一般的な事業主向けの財物&利益損害・賠償責任や労働者災害補償(該当する場合)に関する保険が含まれます。また、日常業務の一環として製品の配送やサービスを行う場合には、自動車保険が必要になるでしょう。加えて、ハードウェア会社には、サプライチェーンの途絶により業務が中断した場合の利益補償や、製品の不具合に関連する訴訟に対して補償をする保険も役立つ場合があります。これらの補償プランの名称は、保険会社や地域よってさまざまに異なりますが、基本的にはどれも同じ役割を果たします。
専門職業賠償責任(E&O)保険は、専門賠償責任保険の一種であり、被保険者が業務上の行為や製品の提供に関連して過失を犯したとする請求や訴訟に対する損害から企業を補償することができます。E&Oの対象となる事象としては、業務遂行上の怠慢や過失、不実表示の申し立てなどが含まれます。
テクノロジー専門職業賠償責任/(テクノロジー E&O)保険は、企業が提供した技術製品または業務遂行上の過失によって当該企業の顧客が被る可能性のある経済的損失に対して、通常の E&O 保険契約内容を超えた補償を提供します。例えば、コーディングエラーが原因で会社のソフトウェアに障害が発生し、そのソフトウェアを使用する顧客が事業を遂行できなかった場合、テクノロジーE&O 保険によって顧客が被る損失が補償される可能性があります。
テクノロジー企業、特に IPO を検討している企業は、特許や商標、著作権、企業秘密に関連するリスクにさらされていることを考慮する必要があります。
知的財産保険は、それぞれの条件に応じて以下の補償を提供することができます。
マーシュ ジャパン
マーシュ ブローカー ジャパン