真杉 公二
マーシュ ブローカー ジャパン
海運・物流業界も、今日の前例のない世界的な不確実性から免れることはできません。技術の進歩とビッグデータの利用に伴い、環境基準と業界規制は厳しくなり、リスク環境は大きく変化しています。パンデミックやサプライチェーンの機能停止、サイバー攻撃の脅威、世界的な遅延が原因の貨物の滞留などの新たな予期せぬリスクが、海運・物流会社が直面する混乱に追い打ちをかけています。
この変化する世界情勢に対し、船主や運用担当者、港湾・ターミナルの管理者、物流業者などは迅速な適応が求められています。また、これらの企業は損失に対する保険市場の敏感な反応にも対処する必要があります。損失により価格が上昇し、補償が減り、クレームの解決がより複雑になるためです。
適切なガイダンス、保険プログラム、およびリスク軽減戦略があれば、海運・物流会社は、変化するリスクを巧みに切り抜け、損失と賠償責任を最小限に抑え、将来を見据えた成長と回復の機会を活用できます。
マーシュは、事業規模、対応範囲、市場における確固たる地位など組織が直面するあらゆるリスク問題を解決するための能力を備えています。
主なリスク領域は、所有財物、または損失や損害が発生した時点で被保険者が責任を負う財物に対する物理的な損失または損害だと考えられています。火災、爆発、または「海固有の危険」(座礁、座洲、沈没、転覆など)は、船舶にとっての大きなリスクです。場所によっては、戦争やストライキ、海賊行為、または氷による損害の危険もあります。海上を輸送される貨物の場合はさらに、輸送時の損傷や水濡れによる損傷、盗難、不着・不足損害等も一般的な損害事象です。物理的な損失に加えて、航海中に生じる賠償責任も大きなリスクです。
パンデミックによる制限から経済活動の異常が拡大するにつれ、港湾職員と船員の健康は引き続き大きな課題となっています。新しい働き方、新たな技術、デジタル化はさらなる課題ですが、同時にチャンスでもあります。また、滞船や貨物滞留、そして環境規制も重要な問題です。
貨物保険は、主として輸送中の財物に対する事故による物理的な損失や損害を補償します。ただし、補償を拡大し、サプライチェーンにおいて輸送中に一時保管している財物を保険の対象とすることもできます。また、貨物保険は通常、貨物所有者が支払い義務を負う共同海損または海難救助費用についても、追加の補償を提供します。
パンデミックは、スピードとデータに対する要求の高まり、収入減少、港湾滞船・滞貨、洗浄・港湾における医療危機および世界的な感染予防策による取引方法の変更などの悪化原因となっています。
船員の身体的、精神的な健康は、海運業界にとってこれまで以上に最優先事項となっています。最近、船員の安全及び健康を保護し、促進することを目的としたネプチューン宣言が発行されました。多くの船員が雇用契約日をはるかに超えて船舶に足留めされており、重大な安全上および精神衛生上のリスクになっています。マーシュは 800 以上の組織とともにネプチューン宣言に署名し、このような不可欠な業務の労働条件の改善に取り組んでいます。
マーシュ ブローカー ジャパン