相澤 道吾
マーシュ ジャパン
新型コロナウイルス感染症の流行により、人々のエンターテインメントやイベントの楽しみ方は変わりました。対面のコンサートや映画、演劇、フェスティバルは中止され、一方でストリーミングサービスがブームになりました。活動が再開され、対面でのエンターテインメントが復活しても、消費者は今後も、自宅とライブの両方の体験を楽しみ続けるかもしれません。メディアやエンターテインメント企業は、場所に関わらず消費者を惹きつけ、記録的な収益を再び生み出す新たな方法を模索しています。
消費コンテンツをグローバルに、かつローカライズした形で定期的に提供しなければならないというプレッシャーが高まっている今、それに関わるリスクが非常に大きくなる可能性があります。アクシデントが続いたり、アーティストが突然参加できなくなったりすることもあるでしょう。また、自然災害や人為的に引き起こされるさまざまな災害、感染症の流行のような想定外の有害事象もあります。これらを包括的な緊急時対応計画の中で考慮していないと、組織の利益がダメージを受ける恐れがあります。
マーシュが擁するエンターテインメント業界のスペシャリストたちは、世界の主要なイベントプロモーターや制作会社、メディア組織のオーナー、主催者、ステークホルダーとさまざまな形で協力してきました。このようにお客様と協力してエンターテインメント業界向けの保険とリスク軽減計画を開発してきたマーシュの経験は、お客様の予期せぬ事象に対しての必要な財務保護とレジリエンスの獲得をサポートします。
エンターテインメント業界は非常に多岐にわたり、必然的に、この分野に関連するリスクの範囲も多様で複雑になります。
たとえば、映画制作において遅れが生じると、再撮影が必要になったり、映像の出資者や出演者、クルーが損失を被ったりする恐れがあります。また別の分野では、報道機関や定期刊行雑誌が誤って虚偽の情報を流してしまい、それが名誉毀損の訴訟に発展する可能性もあります。
他にも、ライブエンターテインメントにおいて、視聴者やパフォーマー、スポンサー、イベントサイト自体に影響を与える悪天候などのアクシデントや、イベントに関わる構造物や車両などの問題が原因で、費用や負債が増える可能性があります。他にも、まれに起こる危険な状況として、動物の死亡、馬に関する賠償責任、パフォーマーの不参加、政治的リスク、さらには誘拐やテロなどがあります。
エンターテインメント保険の詳細は、保険に加入する契約者と、保険会社が提供する契約条件によって異なります。しかし多くのパッケージでは、エンターテインメントに関わる個人、財産、場所を対象とした損害保険、災害保険、労災保険、損害賠償保険が中心となります。
俳優やミュージシャン、その他のパフォーマーたちが業務のため頻繁に世界中を飛び回ることを考慮し、旅行保険もエンターテインメント保険に含まれることがよくあります。その他、特定の作品やイベントに固有の特殊なリスクに対する補償は、ケースバイケースで保険契約に追加することができます。
エンターテイナー保険は、アーティストやパフォーマーを雇用、またはそのサービスの契約を請け負う組織ではなく、アーティストやパフォーマー自身を対象としています。個人(俳優、ダンサー、コメディアンなど)またはグループ(ツアーバンド、劇団など)のいずれかが対象になります。パフォーマーとしての動物も、エンターテイナー保険の対象になります。
このタイプの補償には、さまざまな形式があります。エンターテイナー向けの損害保険には、労働災害補償、自動車保険、建築上のリスク、包括的/上乗せ賠償責任補償を含めることができます。海外の法域で適用される特殊な補償や健康保険に加えて、さまざまな財務的賠償責任保険(受託者、メディア、サイバー、犯罪、身代金目的の誘拐/恐喝を対象とするもの)もあります。
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