リコール保険は以下に挙げるような理由から一般的に保険会社は積極的な販売はしない傾向にあります。
- 一度発生すると多額な保険金支払いとなる可能性が高いこと
- 近年特にリコールの発生頻度が高いこと
- 企業の品質向上努力の大小が発生率に如実に反映すること
ただし、事業会社側にリコールの対応策が準備されていれば一定程度のリコール保険の調達は可能です。また、製品によって潜在するリスクも異なるため契約条件も製品ごとに異なりますが、一般的に食料・飲料品は引受が比較的容易な部類に属し、自動車部品はその部品によって差異はありますが比較的困難な部類に属すと言われています。
リコール保険引受け判断の際に重視される対応策とは具体的には下記の通りです。
- サプライヤー(製品納入)契約における補償条項
- 取扱製品に潜在的な危険性を認識した場合、原因の調査と危険性把握に関するプロセス
- リコール発動の場合、具体的な社内フローとコミュニケーションプランなどの危機管理計画
- 製品安全性の受入れ検査
- 販売した製品のトレーサビリティー
- 販売した製品の迅速な識別
- リコールを行った製品の廃棄方法(誰が、どこで、どのように)
- 取扱製品の関連法規・規制遵守のチェック体制
現在の日本の保険マーケットでは、保険会社がリコール保険を引受可能と判断してもキャパシティ(単一保険会社の提供可能な支払限度額)は限定的(10億円等)であることが多く、リコール保険を必要とする企業にとって十分なキャパシティを調達できない場合があります。このような場合に、マーシュでは、ロンドン、ドイツ、シンガポールなどの海外保険マーケットに直接アクセスし、キャパシティをグローバルで調達し、リコール保険をアレンジすることも可能です。