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E&O保険(エラーズ・アンド・オミッション保険)

マーシュ ジャパン株式会社(Marsh Japan, Inc.)は、E&O保険(専門職業賠償責任保険/エラーズ・アンド・オミッション保険)を活用したリスクソリューションを提供します。

E&O保険の誕生した背景

E&OとはErrors & Omissions の略語で、日本語ではErrorsは「過失」、Omissionsは「怠慢」と訳されます。E&O保険は、職務の遂行上の過失や怠慢によって顧客等の第三者に経済的な損害を与えた事に起因して法律上の賠償責任を負う事によって生じた損害を補償します。

日本において比較的多数の企業が手配している企業総合賠償責任保険(General Liability Insurance)は企業活動において第三者に与えた身体障害や第三者の財物損壊および財物損壊に付随して発生した使用不能損害を補償しますが、身体障害や財物損壊を伴わない経済的損害は通常補償されません。 身体障害や財物損壊を伴わない経済的損害は保険用語で純粋経済的損害(Pure Financial Loss)と呼ばれますが、この純粋経済的損害を補償するのがE&O保険です。

E&O保険は現在様々な種類がありますが、元来は国家資格を必要とする専門職業人を対象とした保険として発展してきました。弁護士、公認会計士、税理士、行政書士、司法書士、建築士、宅地建物取引主任者などの国家資格を必要とする専門職業人は高度の専門知識と技能を要求され、社会的地位が保証されている半面、一般的な職業よりもより高度な注意義務を要求されます。 もしも専門職業人として求められる注意義務を怠り、過失や過誤を招き、その結果純粋経済的損害を与えた場合、その他の職業より法律上の賠償責任を負う可能性が高いと言えます。

純粋経済的損害に対する法律上の賠償責任

製品やサービスの提供に直接的に起因して第三者が身体障害や財物損壊を被った場合、不法行為の要件(※)を満たせば製品やサービスを提供した企業が法律上の賠償責任を明確に負いますが、純粋経済的損害のみを与えている場合、製品やサービスを提供した企業がどこまで法律上の賠償責任を負うかどうかは必ずしも明確ではありません。

例えば、インターネットを使用して家電を販売しているAさんの1ヶ月前に新しく購入したパソコンが故障し、修理に2日を要したとします。 修理の間、お客様の受注に対応する事が出来ず売上にして30万円の計上を逸しました。この場合、Aさんはパソコンの販売者もしくは製造業者に対してパソコンの使用不能による利益損害を法律上の賠償責任として追求できるでしょうか?

パソコンが保証期間内であればAさんはパソコンの通信事業者もしくは製造業者に対し債務不履行により無償修理を受ける事は可能ですが、利益損害を不法行為責任として追求するのは現実的には困難と予想されます。その理由の一つとして、汎用のパソコンであれば代替が可能である事が挙げられます。つまり修理中、他のパソコンを使用すれば営業継続が可能であるという理由です。よって、逆に代替不能である特定の使用目的のために専用に開発されたパソコンが故障した場合は、利益損害を賠償請求出来る可能性は高くなります。

従来日本的商習慣では、純粋経済的損害が発生した場合は、所謂「困った時はお互い様」の相互扶助的精神をもって考えられる傾向があり、賠償請求を積極的に行う姿勢はあまり見られませんでした。この事が日本においてE&O保険が普及しなかった理由の一つと思われますが、最近はその傾向にも変化が見られます。その原因として3点が考えられます。

  1. 経済のグローバル化により欧米的商習慣へ接する機会が増えたこと。
  2. 競争激化により企業に財務的余力が以前より無くなってきたこと。
  3. 消費者権利意識の高揚に伴い賠償責任が厳格化していること。

E&O保険の多様化

賠償責任リスクの高まりに伴い企業側のリスクヘッジのニーズも高まり、保険会社は現在では様々なE&O保険を開発しています。その中でも最近特にニーズが高い分野についてその特徴と共に下記の通り紹介します。

弁護士、公認会計士、税理士等

  • 専門職業人賠償責任保険(Professional Liability Insurance)として引き受ける。
  • 業界によって団体保険制度が用意されている。
  • 職業によっては保険の加入が必須となる。

医師、看護師

  • 純粋経済的損害ではなく医療過誤による医師および看護師の賠償責任を専用の専門職業人賠償責任保険として引き受ける。
  • 医療過誤が全世界的に増加の傾向にあり保険会社の引き受けも極めて慎重である。

金融事業者

  • 金融事業者のニーズは高いが、引き受ける保険会社も限られており保険料水準も高い。
  • 情報漏洩リスクに対するニーズも高い。

IT事業者

  • ITシステムの設計やネットワークの運用を担うIT事業者が手配するケースが増加している。
  •  ITビジネスの進化の早さに保険の対応が追いついてない側面あり。

エンジニアリング事業者

  • 特定のプロジェクトにおいてE&O保険の手配が契約受注の条件となるケースがあるが、特定のプロジェクトのみを対象としたE&O保険に対して保険会社は比較的慎重である。

マスメディア

  • 知的財産権の侵害リスクをヘッジするために手配するケースが多い。

製造業者

  • 製造物賠償責任(PL)保険や総合賠償責任保険(General Liability Insurance)にManufacturing E&Oの特約を付帯して補償する事が可能。
  • 部品および原材料メーカーの完成品メーカーに対する純粋経済的損害の賠償責任を補償するニーズが特に自動車関連業界および電気・電子関連業界で増えている。

E&O保険手配にあたっての注意点

他の保険同様、E&O保険にも免責事項(保険金を支払わないケース)があります。例えば、あるIT事業者向けのE&O保険では、ITシステム納入後1ヶ月以内に発生した顧客からのクレームが免責事項となっています。 IT事業者であれば経験上理解出来ると思いますが、ITシステムのエラーは納入後の比較的早い段階で発生するケースが多いので、この様な免責事項があると、せっかくE&O保険を手配していても意味が無くなってしまいます。よってリスク実態とニーズに応じて補償内容を個別にアレンジすることが不可欠となります。

E&O保険のマーケット

歴史的に欧米で普及し始めた経緯もあり、欧米系の保険会社の方が比較的引き受けに柔軟に対応可能という傾向がありますが、最近は徐々に力を入れ始めている日系保険会社も存在します。保険会社一社の引受け限度額は保険会社により異なりますが、5億円から30億円程度ですのでそれ以上の限度額を必要とする場合は複数の保険会社により保険プログラムを組成する必要があります。 E&O保険マーケットに精通した代理店またはブローカーに相談されることをお勧めします。

※不法行為の要件

  1. 故意または過失が存在すること
  2. 他人の権利や利益を違法に侵害すること
  3. 加害者が責任能力を有すること
  4. 加害行為と相当因果関係のある損害が発生していること

<民法709条>

故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責任を負う。

本情報は、取り扱われている主題に関して概観をご理解頂くためにのみ提供されるものであり、個別の状況に対する助言として理解されまたそのように依拠されるべきものではありません。
保険契約者・被保険者におかれては、特定の保険の補償内容およびその他の個別の問題については、各自で保険、法律その他の専門家・アドバイザーに照会頂く必要があります。
保険の補償内容は個別の契約条項や免責条項等によって異なります。弊社は、特定のお客様または特定のリスクについて適切な保険が入手可能であるかどうかの保証をするものではありません。