別法人のサイト(外国のサイトを含みます)へ接続します。

これより先は別法人のサイト(外国のサイトを含みます)へ接続します。
接続する場合は「別法人のサイト(外国のサイトを含みます)へ接続する」を、接続しないでこのメッセージを閉じる場合は「このページにとどまる」をクリックして下さい。

Skip to main content

アジアの企業が海外事業の拡大で直面する4,400億米ドル以上のリスクとは?

アジアの多国籍企業が海外事業を持続的に拡大するには、複雑かつ進化するリスク環境に対処できる強固なリスクマネジメント戦略が不可欠です。

業種を問わず、アジアの多国籍企業は投資計画を戦略的に練り、海外進出や海外事業拡大への強い意欲を見せています。
2023年、日本および韓国の海外直接投資額(FDI)はそれぞれ、1,840億米ドル、350億米ドルに上りました1。両国の国内市場が飽和状態に向かい、成長路線を維持するための戦略が求められていることが背景にあります。
しかし、海外進出や海外事業展開に舵を切った企業は複雑なリスク環境下で、プロジェクト立案から資金調達、建設、操業、イグジット(出口戦略)に至る5段階でさまざまな課題に直面しています。

具体的には、地政学的紛争や規制要件の変更、気候変動、技術革新などの課題が立ちはだかっており、リスクの保険適用可能性を評価する全社的リスクマネジメント(ERM)がますます重要になっています。

 

海外事業の拡大に伴う5段階で検討すべき主な事項とリスク軽減策

#1. プロジェクト立案:海外事業の拡大に適した市場を特定

海外事業の拡大に適した市場を特定する際には、下記のリスクを考慮しましょう。

  • 地政学リスク (選挙や関税、武力紛争、社会不安に起因)、あるいは当該情勢がサプライチェーンのレジリエンスに及ぼす影響。
  • インフレリスク、 およびインフレが原材料や操業、人件費に及ぼす影響。
  • 異常気象リスクおよび気候変動が組織の保有資産や事業の継続性に及ぼす潜在的影響を定量化。 

ソリューション: 

  • 地政学リスク2024年には60か国以上で選挙が予定されており、その国々で少なくとも世界人口やGDPの40%を占め、地政学的な不透明感が増しています。各種課題を特定・対処するには、ワールド・リスク・レビューなどのソリューションを活用してカントリーリスクを包括的に分析し、十分な情報に基づいて、政治リスクを適切に移転可能なソリューションを導入することが重要です。
  • インフレリスク: l  インフレ軟化の兆しは見えますが、おそらくここ数年で企業の資産価値は減少しています。マーシュが提供する評価サービスを活用し、最新の資産価値に情報を更新すれば、一部保険(※)を回避しやすくなります。※保険金額が保険契約の目的の価額(保険価額)を下回る保険契約となり、損害額の一部しか支払われず、十分な補償が受けられません。
  • 異常気象リスク: アジアは異常気象や気候変動の脅威に最も晒されている地域です。2 物理気候リスクモデリングリスクエンジニアリングを活用すれば、十分な情報に基づいて気候リスクを軽減しやすくなります。そのほか、リスク事象発生後の迅速な復旧には事業継続計画(BCP)が鍵を握ります。

#2. 資金調達: 海外事業の拡大に備えて十分な補償枠を確保

第2段階では、海外進出や海外事業の拡大プロジェクト別に現地の要件や保険料率、トレンドを加味して、トータルリスクコストを把握する必要があります。

ソリューション:

  • 従来の保険プログラム: グローバルネットワークを持つ定評あるリスクアドバイザーと連携することにより、費用対効果の高い引受キャパシティを獲得し、リスクへの包括的な補償を確保することが可能です。

代替的なリスク移転ソリューション:

  • 伝統的な保険市場において引受キャパシティの制限やリスクコストが高い場合、キャプティブの導入が効果的です。キャプティブの設立や理想的な保険プログラムの検討にあたっては、キャプティブ・フィージビリティスタディをお役立てください。
  • パラメトリック保険では、特定のトリガーイベントの発生時に保険金が支払われます。具体的には、独立した第三者機関の指数値が事前に定義した閾値(例:10分以上の間、150km/h以上の風速を記録)を満たすか超えた場合に支払われます。

#3. 施設の新設(建設)または既存事業の買収(M&A)

施設の新設

予定・予算どおりに完了する大型プロジェクトは、わずか8.5%に留まります。その背景として、世界的な貿易の中断や地政学的な緊張の高まりがサプライチェーンや物価に悪影響を及ぼしています。グローバルな事業展開にあたり、企業は現地の建設基準を遵守し、プロジェクトの遅延・紛争リスクを軽減する必要があります。

既存事業の買収

トランザクショナル・リスクの管理や潜在的な隠れ負債の特定は、既存事業を買収して事業を拡大するうえで非常に重要です。

ソリューション: 

#4. 操業: 継続的なリスク評価 

新たな拠点で操業を開始すれば、継続的なリスク評価が重要になります。なぜなら、地政学的な緊張やインフレ圧力、規制遵守の課題、物理的リスク、サプライチェーンの分断、サイバーセキュリティの脅威など、リスク環境は刻一刻と変化しているからです。

ソリューション: 

  • 物理的リスク財物保険および事業中断(PDBI)保険のほか、一般賠償責任保険や製品回収(リコール)保険などを手配すれば、事業中断のリスクに対処しやすくなります。
  • インフレ: 評価およびリスクファイナンス最適化サービスを利用すれば、最新の資産価値に基づいて、費用対効果の高いリスク軽減およびリスク移転を進めることができます。
  • 支払い不能取引信用保険(不払い)は、経済的な不安定性から事業を守ります。
  • サプライチェーンの分断貨物保険は、港湾の渋滞に起因する遅配リスクを軽減します。また、AI型プラットフォーム「Sentrisk」を利用すれば、サプライチェーンを可視化し、サプライチェーンリスクをコントロールしやすくなります。
  • 規制要件の変更: 役員賠償責任保険(D&O)は企業や経営幹部を損害賠償リスクから守ります。具体的には、株主訴訟や、不正行為または損害に伴う訴訟、情報漏洩などサイバー関連の損失などが補償の対象です。
  • サイバーセキュリティ:絶えずイノベーションが巻き起こり、サイバーインフラも拡充され続ける中、クラウドストライク社のソフトウェア更新に伴う大規模システム障害をはじめ、サイバーインシデントは避けられない問題になっています。サイバーリスク定量化、サイバー保険危機管理は、損失を定量化し請求するための強固なリスク管理戦略の不可欠な部分であり、サイバー攻撃からの復旧を支えています。

そのほか、リスクが相互に連関する中、全社的リスクマネジメント(ERM)およびリスク・インシュアラビリティ分析は、自社を取り巻くリスク環境を包括的に可視化し、リスクの軽減および移転を支援します。

#5. イグジット(出口戦略): 海外事業の売却

企業は会社役員賠償責任(D&O)保険を手配して、潜在的な賠償リスクや売却中のトランザクショナルリスクから役員を守らなければなりません。

ソリューション:  

  • D&O保険期間延長(ランオフカバー)の特則は、たとえ買収の完了後であっても、売却前に発生したイベント関連の訴訟から取締役および役員を守ります。
  • 売り手向けのトランザクショナルリスク保険は、不実表示や税務見解の不透明性などのリスクを第三者である保険会社へ移転することで、クリーンなイグジット(売却)を実現し、エクスロー内に資金を預ける必要もありません。

人的リスクを適切に管理して成功へ

プロジェクト立案から操業に至る各段階で、人的資本が成功の鍵を握ります。主な考慮事項として、レジリエントな労働力の確保・保持や、人手不足・スキルギャップへの対処、現地の労働法制の遵守は不可欠です。

強固な人材戦略を策定するためには、多国籍からなる人的資源の管理に精通した経験豊富な専門家の助けが重要です。人材の評価や獲得、モビリティ、報酬福利厚生制度、多文化共生、従業員エンゲージメントの分野で、クロスボーダーの実効性に富むガイダンスが望まれます。

下記2つの事例は、効果的なリスクマネジメントの成果を示しています

selected option

あるグローバル家電メーカーは、複数市場にまたがるブランドの買収に伴い、弱い統制環境や保険間のシナジー不足、不利な引受条件、高額な保険料、主要人材の保持の難しさなど、複数の課題に直面していました。

マーシュ・マクレナンは、主要人材の定着計画やKPI調整、M&Aディールとの整合性確保に向けて実効性の高い保険管理システムを構築し、一気通貫の支援を行いました。

中国市場での引受能力を活かしてグローバル保険プログラムを構築し、買収した全当事者の保険を一本化させて、合理的かつ費用対効果の高い保険プログラムを実現しました。

 

米国の新設工場へ異動する主要な従業員が医療サービスにアクセスできない懸念に直面した韓国のコングロマリット企業は、マーサー・マーシュ・ベネフィッツ(MMB)を起用して、その従業員および扶養家族向けのグローバルな医療・福利厚生制度をレビューしました。

レビュー後、MMBチームがその従業員に対して、米国の医療制度および福利厚生制度について詳細に説明した結果、従業員が感じていた米国で家族と生活するうえでの不安を払拭することができました。

 

アジアの多国籍企業の海外事業拡大ニーズに
強固な保険ソリューションで応える

マーシュのアジア・クライアント・サービシズは、中国、日本、韓国そして台湾のお客様向けにそれぞれ専門チームを組成しています。海外進出や海外事業拡大に必要な現地特有の専門的なリスクや法規制に関する情報などを提供し、マーシュのグローバルネットワークを活用して世界中でリスクマネジメントやグローバル保険プログラムに関するシームレスなサービスを提供しています。

マーシュのアジア・クライアント・サービシズは200名超のリスクスペシャリストを主要都市に配置しています。日本語、中国語、韓国語によるサービスの提供はもとより、貴社のリスクプロファイル管理を支援するグローバルなガバナンスおよび監督体制を確保しています。そのネットワーク網を駆使して、貴社のニーズに沿った円滑な支援体制や強固なリスクマネジメント、グローバル保険プログラムなどの競争力のある保険ソリューションを提供しています。

海外事業の拡大を成功させるために

海外進出、海外事業拡大の成功は、複雑化するグローバルリスクへの対応が鍵となります。ぜひマーシュのリスクプロフェッショナルにご相談ください。

1 United Nations Trade and Development. Accessible at: https://unctad.org/publication/world-investment-report-2024

2 World Meteorological Organization. Accessible at: https://wmo.int/news/media-centre/climate-change-and-extreme-weather-impacts-hit-asia-hard

この分野のプロフェッショナル

Junko Ikeda

池田 順子

マーシュ ジャパン