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パラメトリック保険で従来型保険の制約事項を補完する

パラメトリック保険(別名「インデックスベース保険」)は、補償ギャップを補うソリューションとして、ますます注目されています。評価が震度や雨量などのインデックスのため明確で、従来型保険と比較して支払いが迅速です。そのため大型自然災害の場合でも 、早い段階で復旧活動に着手しやすくなります。

従来型のPDBI保険(財物損害・事業中断)などの従来型保険の場合、保険会社および再保険会社は、引受キャパシティを制限しながら保険料を増額させる必要性に迫られています1

たとえば、地震といった巨額自然災害のリスクが保険の対象外となるケースが増加している一方で、保険会社は免責額を引き上げており、企業が抱えるリスクは増大しています2

保険条件と引受キャパシティが狭まっていることとに加え、台風などの巨額災害によって物的損害は生じなかったものの、ホテルの稼働率が減少するなど、従来型の保険では補償されない損失を被る可能性も高まっています。

このような背景から、パラメトリック保険(別名「インデックスベース保険」)は、補償ギャップを補うソリューションとして、ますます注目されています。パラメトリック保険は、従来型保険と比較して支払いが迅速(一般的には30日以内)であり、明確です。そのため、災害などに見舞われても 、早い段階で復旧活動に着手しやすくなります。

パラメトリック保険の仕組みとは?

パラメトリック保険は、気象庁などの中立的な第三者機関のインデックス(指標)を基準に、保険会社が支払条件を設定するものですが、個別のニーズに合わせて設計するテーラーメイド型のリスク転嫁方法です。例えば、時速150kmの強風が10分以上継続するなど、保険会社が事前に定義した閾値に基づき、保険が発動する仕組みです。

パラメトリック保険の主なメリットは以下のとおりです。

  • 支払いの確実性:補償は事前に定義したトリガーに基づきます。
  • 迅速な支払い:緊急で資金が必要なときにそのニーズを満たせます。
  • 保険請求手続きの負担減少:事前に支払い条件が設定されているため、手間と負担が軽減されます。
  • 補償のカスタマイズ性:競争力のある価格で貴社のビジネスニーズに沿った保険サービスを設計します。

災害などが起きた際、最適なインデックスと支払いの計算式により、事前に合意された支払い額が、実際に発生した経済的損失を正確に反映していることを確認する必要が生じます。そのために、当該保険の手配や、他に手配している保険契約の見直しに先立って、経験豊富なリスクアドバイザーによるモデリングと商品設計が欠かせません。

パラメトリック保険と従来型保険の違いは?

従来型の保険商品では、保険金の請求時に災害などによる物損の検証情報が求められ、保険金請求のための手間や負担(金銭的な負担を含む)が発生する可能性があります。一方、パラメトリック保険では、第三者機関のパラメーターに基づいて災害状況が特定され、数週間以内に補償がなされることが一般的です。

パラメトリック保険は、従来型の契約条件では定義が難しい損害に対しても、高い信頼性で効率的に支払いを行うことが可能であり、従来型保険の補完商品として幅広く利用されています。パラメトリック保険と伝統的な保険を組み合わせることで、地震、台風、洪水、干ばつ、山火事、農作物の不作、パンデミック、テロなどのリスクイベントの発生時に、直接的・間接的な経済損失を迅速に力強く補償することができます。

下図の3つのシナリオは、台風の発生リスクを例に、巨額災害の発生時にパラメトリック保険が企業の損害を補償する仕組みを説明しています。

上図のシナリオ では、PDBI保険の「カーブアウト」(切り離し)オプションを利用して、手配が困難なリスクを完全に除外して、パラメトリック保険で付保します。

シナリオ では、免責額の「買戻し」オプションを利用して、リスクの一部をパラメトリック保険にて代替補償しています(例:1千万米ドル)。

シナリオ 3 では、物的損害のない事業中断や付保対象にできない資産などをオーダーメイドのパラメトリック保険を組成して付保することで、PDBI保険を補完しています。

パラメトリック保険はPDBI保険の補完商品として、異常気象リスクを広範に補償していますが、主な懸念点の1つがベーシスリスクです。

パラメトリック保険のベーシスリスクに対処する

パラメトリック保険の場合、災害などの度合いや事前に定義した支払い条件の計算式次第で、実損額が支払い額を上回る「ベーシスリスク」が主な懸念事項となります。なお、従来型の保険商品でも、支払額が事前に決定されておらず、比例条項や免責事項、サブリミット、免責額の設定に応じて調整される場合、ベーシスリスクが存在します。

経験豊富なリスクアドバイザーと連携し、パラメトリックのモデリングを活用することにより、さらに強固な保険設計が可能です。貴社が抱えるエクスポージャーの水準やそれに見合った保険料の期待水準に合わせてパラメトリック保険の補償額を事前に設定して、実損額に極力近づけることが可能です。

パラメトリック保険で貴社ビジネスのレジリエンスを高めるには

リスクマネジメント・保険仲介の世界的リーダーであるマーシュは、アジアをはじめ、世界中の企業に対して、強固なモデリングと設計戦略に裏打ちされたオーダーメイドのパラメトリック保険の手配により、異常気象で直接的な損害を被らなくても事業が中断してしまうリスクなどの軽減をお手伝いします。

マーシュのパラメトリック保険は、世界各地の保険会社とのネットワークにより、企業が巨額災害に関する引受キャパシティ面の制約や補償ギャップなどの課題を乗り越えられるように、代替的なリスク転嫁ソリューションを提供しています。

パラメトリック保険についてさらに詳しい情報についてはこちらからマーシュにご連絡ください。また、下記のセミナー動画はマーシュが過去にオーダーメイドのパラメトリック保険を設計・組成した事例(英語)です。ぜひご覧ください。

 

パラメトリック保険でさらに強固なリスクソリューションを組成しましょう