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グローバル/アジア・トランザクショナル・リスク・クレーム・レポート2024

表明保証保険(R&W保険/W&I保険)はM&Aにおける契約交渉のポイントの一つです。本レポートは、2023年に表明保証違反等の事故報告があった保険金請求に関する分析結果をまとめたものです。

(*)以下、表明保証違反等を「事故」、表明保証保険に基づいて保険金請求の通知を行うことを「事故報告」といいます。

 

2023年は、マーシュが手配するトランザクショナル・リスク保険(以下、「M&A保険」)の保険金請求にとって記録的な一年となりました

本レポートの概要は以下の通りです。
本レポート、M&Aリスク、表明保証保険についてのお問い合わせはこちらよりお願いします。

M&A保険の保険金請求は2023年に、事故報告件数と支払額の両面で過去最高を記録しました。表明保証違反等の事故報告件数は362件に上り、保険金請求の累計支払5額も3億米ドルを超えました。

アジア地域では2022年に13件のそれぞれ異なるM&A案件で計18件の表明保証違反等の事故報告が行われ、2022年比では19%減となりましたが、(特定のM&A案件に集中して事故報告が行われるのではなく)事故報告が行われた案件数は増えています。

このトレンドは継続しており、マーシュは2023年にアジア地域で過去最大となる147件のM&A保険を手配しており、表明保証違反等の事故の発生率は2018年から2023年にかけて9~11%で安定的に推移しています。

税務関連の表明保証違反が、アジア地域における支払保険金の中で最も割合が高く、
表明保証保険の事故報告件数の32%を占めています

アジア太平洋地域全体で税務関連の表明保証違反が根強く発生する中、税務に関する表明保証条項・補償条項のスコープ・範囲などの交渉が、より重視されています。
M&Aにおける税務リスクに対処するために、租税債務保険を活用する契約者が引き続き増えており、事故報告件数は前年比で5倍になっています。

その他の原因による表明保証違反も発生頻度が増加しています

重大な契約に関する表明保証違反が発生するのは、ターゲット会社と主要な顧客との関係が前々から悪化じていた事実が開示されなかったことによるケースが多いのが実情です。

買収時にはまだ両者の関係は、一触即発の危機にあるわけではないものの、実態としてはM&A契約終了の瀬戸際にありました。
クロージング後には緊迫した関係性も修復不可能な状況に陥っており、M&A契約の破棄に至りました。

表明保証違反等の事故発生時期は以前から変わっておらず、
大半の事故報告は保険契約の2年目から3年目の間にされています

2022年には、大半の事故報告が保険始期から24か月以降にされており、この傾向は2023年にも続いています。
ただし、2023年には、24か月目以降に報告された件数が22%減少しています。

2023年において、アジア地域では以前よりも事故報告の時期が分散しており、保険期間の1年目、2年目、3年目でそれぞれ1/3ほどになっています。
このデータは、ビジネスに関する表明保証条項に対する保険の適用期間が3年であることの意義を示唆しています。というのも、表明保証違反等の事故が買収直後に発生する場合もあれば、税務の監査プロセスが長引き、買収後しばらくして表明保証違反等の事故が発生する場合もあるからです。

被保険者は保険会社に対して保険料以外の点も重視しています

アジア地域のM&A保険市場では新規参入者が登場し、引き続き激しい競争環境にあります。
このような状況下において、M&A保険を扱う保険会社が下記の事項をはじめ、シームレスかつ顧客中心の非常に優れた保険金請求サービスを提供できれば、競合との差別化に成功する公算が高いでしょう。

  • 表明保証保険に基づいた保険金請求の通知に迅速に対応し、速やかに有無責についての検討を行う
  • 広範な照会リストを単に送るのではなく、目的が明確で妥当な範囲に限定して照会を行う
  • 有無責の判断は社会一般に通用している常識や見解に基づき行い、顧客目線での状況把握に努める
  • 事実・実態に即した表明保証違反等の事故処理により、レベルの高い解決を図る
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