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レポート

グローバル・インシュランス・マーケット・インデックス

2021年第2四半期の世界の企業保険の保険料は、保険料率の上昇が緩やかになり15%の上昇となりました。

2021年第2四半期の世界の企業保険の保険料は、保険料率の上昇が緩やかになり15%の上昇となりました。アジアにおける上昇率は前年同期比6%、サイバー保険の保険料は損害の悪化により上昇。

世界の主要保険市場における、グローバル保険市場インデックス(マーシュ取扱保険料の90%近くを占める企業保険の更改保険料の変動を示す独自の指標)によると、2021年4-6月期の世界の企業保険の保険料は15%上昇しました。世界の企業保険市場の料率上昇は15四半期連続です。また、1-3月期の平均上昇率は前年同期比18%上昇、2020年10-12月期は22%増と、3四半期連続で減少しました。

ヨーロッパを除く財物保険、アジア、ラテンアメリカ・カリブ地域を除く金融・プロフェッショナル分野の保険の保険料上昇率が総じて鈍化したことから、世界全体での保険料上昇は鈍化しました。英国では、保険料が28%上昇(2021年第1四半期の35%から低下)、パシフィック地域は23%上昇(2021年第1四半期の29%から低下)し、引き続き世界全体の保険料の上昇を牽引しました。米国では12%(14%から減少)、アジアでは6%(8%から低下)、ラテンアメリカ・カリブ地域では4%(5%から減少)、コンチネンタル・ヨーロッパでは13%(15%から低下)上昇しました。

その他の調査結果は以下のとおりです。

  • 世界の財物保険料は平均12%上昇し、2021年第1四半期の15%上昇から減少しました。賠償責任保険の保険料は平均6%上昇しました。これは前四半期と同水準です。
  • また、金融・プロフェッショナル分野の保険の保険料は、主要保険種目の中で最も高い上昇率で34%となりました。前四半期では40%の上昇率でした。
  • サイバー保険の保険料は引き続き全体の傾向とはかけ離れています。米国のサイバー保険料は前四半期の35%上昇に対して56%の上昇となりました。英国では前四半期の29%上昇に対して35%の上昇率でした。これは、ランサムウェアの発生頻度と被害の深刻度によるものです。

アジアの状況は以下のとおりです。

他の地域と同様、アジアの保険料は、財物保険や金融・プロフェッショナル分野の保険が牽引役となりました。前年同期比では、フィリピンが28%と最も高く、次いでシンガポール、マレーシアが13%となりました。

アジア全域の財物保険料は7%上昇し、11期連続の上昇となりました。

  • 財物保険プログラムの複雑さ、保険会社のキャパシティ制限、保険会社間の競争の低さが引き続き影響を及ぼしているものの、アジア全域では保険料のゆるやかな上昇が続いています。
  • 自然災害のキャパシティは潤沢で、確保可能な状況でした。保険料上昇のペースは鈍化したものの、2020年以来、上昇を続けています。
  • フィリピンでは財物保険料の上昇(31%)が最も高く、一方、中国とベトナムでは財物保険料が減少(それぞれ-3%と-4%)しました。

アジアにおける賠償責任保険の保険料は、3年間にわたり、地域全体で横ばいで推移しました。

  • キャパシティは十分で、保険金請求の状況は穏やかでしたが、製品回収と製造物責任の補償内容には課題が残りました。
  • 中国、日本、韓国では、自動車、バッテリー、テクノロジーなどの分野で厳しい状況となりました。

アジア地域の金融・プロフェッショナル分野の保険の保険料は24%上昇しました。これは、ここ数年で最大の上昇率であり、会社役員賠償責任(D&O)保険が牽引したものです。

  • 保険会社は可能な限り、すべての金融・プロフェッショナル分野の保険おいて、保険料率をグローバル保険料率水準に近づけることを試みました。上昇率が最も高かったのはシンガポール(35%)で、次いで香港(27%)、インドネシア(25%)の順でした。
  • 保険会社は、米国上場企業のD&O保険引受に対して非常に選別的であり、保険会社の選好が限られる中で、プライマリーレイヤーの一部の顧客に対して75%から100%の保険料率を引き上げました。
  • 米国市場ではIPOの機会が増加していますが、アジアの一部の保険会社だけに、そうした案件の引受意欲が見られました。
  • アジアのサイバー保険市場は、他の地域と同様に、引受キャパシティの低下と主要補償の縮小(主にランサムウェアの損失の頻度と深刻さによる)に伴い、引き続き、保険料や免責金額で上昇傾向が見られました。

一定の棒グラフは、グローバル保険の複合価格変更を表します。