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レポ―ト

アジアの多くの企業が、有効なリスクマネジメントツールとしてキャプティブ自家保険に注目

保険レートの高騰や保険の購入自体が困難な状況が続く中、企業がキャプティブを利用する件数は増えつつあります。

マーシュ・キャプティブ・ランドスケープ・レポート2023 年版をダウンロードして、キャプティブ自家保険市場の最新動向をご確認ください。

過去 3 年間で、マーシュのクライアントは約 400 社の新たなキャプティブを設立しました(2020年に100社、2021年に132社、2022年に138社設立)マーシュ・キャプティブ・ソリューションズは現在、全世界 をほぼ網羅する55 のキャプティブドミサイルで約 1,900 社のキャプティブをマネジメントしており、これは 4 社に 1 社の割合に相当します。

世界的に、過去 2 年間におけるキャプティブの収入保険料は上昇傾向にあります。マーシュがマネジメントするキャプティブの収入保険料は 700 億米ドルを超え、利益剰余金は約 1200 億米ドルに達しました。特に、アジア地域に親会社を有するキャプティブの収入保険料は 58%増加しました。

歴史的に、キャプティブが増加するのは、企業保険のレートが高くなり企業側がリスク保有を強化する必要に迫られるタイミングと重なることが多くありました。しかし、近年は特定の業界や地域における保険種目のレートの上昇が鈍化し始めても、キャプティブの増加傾向が見受けられており、今後も続くとマーシュは予測しています。

キャプティブ自家保険市場: 高まる非従来型の保険種目への関心

従来型の財物保険および賠償責任保険は引き続きキャプティブの引受種目の主流であり、キャプティブの収入保険料における最大シェア36%を占めています。マーシュがマネジメントするキャプティブで引き受けているその他の保険種目には以下のものがあります。

  • 生命保険: 30%
  • 従業員福利厚生: 19%
  • ファイナンシャルライン: 15%

非従来型の保険種目のキャプティブ引受への関心も引き続き高まっています。従業員福利厚生分野では、キャプティブが引き受けるメディカル・ストップ・ロスの保険料は32%増加し、従業員任意加入保険の保険料は39%増加しました。賠償責任保険分野では、会社役員賠償責任保険(D&O)が100%増加しました。また、企業向けサイバー保険市場が厳しい状況が続く中、キャプティブのサイバー収入保険料は 57%増加し、マーシュがマネジメントするキャプティブのうち、サイバー保険を取り扱うキャプティブの数が75%以上と著しく増加しました。

賠償責任保険分野 : 長らくキャプティブの主要引受種目であった賠償責任保険分野も発展を遂げています。多くのキャプティブオーナーは、自社で有するファイナンスツールをより上手く活用する方法を模索しています。賠償責任保険分野においては大きな成長が見られ、特に、労災補償保険が賠償責任保険分野において引き続き最大のセグメントとなっています。保険市場が厳しいことから、一部のキャプティブオーナーは、より良い結果を目指し、様々なアプローチを試みています。これは、従業員福利厚生制度との連携、人事部との協力、キャプティブの成長と拡大などに現れています。

第三者リスク : これまで、第三者リスクに関するキャプティブの収入保険料は極く僅かでしたが、現在ではマーシュがマネジメントするキャプティブの収入保険料の27%を占めています。多くのキャプティブオーナーが、第三者リスクの保険引受に関連するキャッシュフローから、保険引受利益や投資収益を得ることに関心を寄せています。キャプティブのリスクポートフォリオの多様化に加え、ペット保険、個人賠償責任保険、自動車保険、延長保証などの第三者リスクはキャプティブの収益性を高める可能性があります。

このように多様なリスクカテゴリーをキャプティブに組み込むことで、複数の補償種目に跨ってボラティリティを分散させることができ、キャプティブ自体のボラティリティを下げることができます。

保護セルキャプティブの増加

キャプティブには、シングルペアレント・キャプティブ、グループ・キャプティブ、そして最も急速に成長している形態の一つである保護セル・キャプティブなど、いくつかの形態があります。保護セルキャプティブは、Protected Cell Companies(PCCs)、Segregated Portfolio Companies(SPCs)、Segregated Account Companies(SACs)、またはIncorporated Cell Companies(ICCs)として知られています。その名称はドミサイルによって異なりますが、各セルが個別に資本化され、他のセルから分離されているという点で、その構造は類似しています。保護セルキャプティブは、しばしばレンタ・キャプティブとも呼ばれます。

新規に設立されたキャプティブの内、4社に1社は保護セル・キャプティブです。保護セル・キャプティブには以下のような利点があります。

  • シングル・ペアレント・キャプティブよりも運営コストを最大で50%削減できる
  • 数か月かかる運営開始に必要な日数を数日に短縮できる
  • サービスプロバイダー等のインフラがすでに出来上がっている
  • シングル・ペアレント・キャプティブと同レベルの財務的メリットが得られる可能性がある
キャプティブ・ランドスケープ・レポート2023 をダウンロード