東京 | 2023年12月08日
米国サイバー保険市場が2018年下半期以来、2四半期連続の減少を記録したため、保険料は安定を続けている
保険仲介とリスクマネジメントの世界的なリーディングカンパニーMarsh (以下マーシュ) が発表したマーシュ・グローバル・インシュランス・インデックス日本語版によると、2023年7-9月期のグローバル保険市場における企業向け保険料率は4-6月期と同様の3%の上昇となり、24四半期連続で保険料率の上昇となりました。
2023 年7-9月期の保険料率は全地域で安定した推移となり、前期と同様に金融・プロフェッショナル分野の保険料率が引き続き低下し、サイバー保険市場の保険料率も若干低下しましたが、これらは財物保険料の上昇によって相殺され、特に米国では財物保険料が平均14%の上昇となりました。
米国では、全体的な保険料率は平均的に4%上昇し、2023年1-3月期、4-6月期と同様の上昇率となりました。ラテンアメリカ・カリブ海地域では、10%の上昇(4-6月期の8%から上昇)、ヨーロッパでは4%の上昇(4-6月期の5%から低下)、パシフィック地域では1%の上昇(4-6月期の2%から低下)、アジアでは±0%の上昇(4-6月期と同様)、英国では 1%の低下(4-6月期は 1%の上昇)となりました。また、今回、初めて、カナダ(今期保険料が1%低下)を個別に、また、インド・中東・アフリカ(今期3%の上昇)を新たに集計しました。
その他のトレンド
- 2023年第7-9月期のグローバルにおける財物保険の保険料率は7%の上昇となり、4-6月期の10%から低下しました。
- 金融・プロフェッショナル分野の保険料率は、5 四半期連続で全体的に低下しました。特に英国における料率のさらなる引き下げと引キャパシティの拡大に牽引され、平均保険料率は、4-6月期では 8%の低下に対し、今期は 6%の低下となりました。
- サイバー保険のグローバル全体における保険料率は4-6月期の1%の上昇に対し、今期は2%の低下となりました。
これは2018年下半期以来の低下となりました。
- 更改時には多くの地域で、インフレによる資産評価や保険金支払費用への懸念が注視されています。
本報告書について、マーシュのマーシュ・スペシャリティ部門およびマーシュ・グローバル・プレースメント部門の統括責任者あるパット・ドネリーは、次のよう述べています。「数年間上昇を続けていたサイバー保険料が小幅であっても低下していることは、サイバーレジリエンスへの取り組みが評価された結果であり、顧客にとって非常に好ましいことですが、依然として財物保険市場、特に巨大自然災害のキャパシティは厳しい状況にあり、顧客とマーシュ双方における重要な課題です。マーシュは不透明な地政学的、経済的環境の中、顧客が直面する広範なリスクを管理し、組織のレジリエンスを高め、更改時においても保険会社から最適な結果を得るために、幅広いリスク軽減対策の選択肢を顧客とともに模索し続けています。」