東京 | 2024年3月1日
保険仲介とリスクマネジメントの世界的なリーディングカンパニーMarsh (以下マーシュ) が発表したマーシュ・グローバル・インシュランス・インデックス日本語版によると、2023年10-12月期のグローバル保険市場における企業向け保険料率は2%の上昇(7-9月期の3%から低下)となりました。これにより、25四半期連続で保険料率の上昇となりました。
保険料率は今期もほぼ全地域で安定した推移となり、前期や前々期と同様に、金融・プロフェッショナル分野の保険料率の低下が継続したことや、サイバー保険市場の料率が若干低下したことが全体に影響しました。加えて、財物保険の保険料率の上昇が緩やかであったことが今期の結果に貢献しており、競争環境の高まりが、強い需要と継続的な損害の影響を相殺する結果となりました。
2023年10-12月期の英国、カナダ、アジア、パシフィック地域の総合的な保険料率は±0%でした。米国は3%の上昇、ヨーロッパは4%の上昇、インド・中東・アフリカは4%の上昇、ラテンアメリカ・カリブ海地域は8%の保険料率の上昇となりました。
その他のトレンド
- 2023年10-12月期のグローバルにおける財物保険の保険料率は6%の上昇となり、7-9月期の7%から若干低下しました。賠償責任の損害保険料率は過去4四半期と同じ3%の上昇となりました。
- アジアの財物保険料率は前四半期と同じ2%の上昇となりました。保険会社は、引き続き、日本、台湾、フィリピンにおける巨額自然災害(CAT)のエクスポージャーを注視しており、これらは、リスク管理方法の継続的な精査と、保険条件にもしばしば反映されました。
- アジアにおける賠償責任保険の保険料率は、前四半期(2023年7-9月期)と同様に2%の低下となりました。アジア地域でエクスポージャーを持つ顧客に対する料率は引き続き良好でしたが、北米のエクスポージャーを持つ顧客は精査の強化に直面しました。
- グローバルにおける金融・プロフェッショナル分野の保険料率は、6 四半期連続で平均保険料率が低下しました。特に米国、英国、パシフィック地域では、料率の低下に対する競争力の上昇に牽引され、前四半期(2023年7-9月期)と同様に保険料率が、6%低下しました。
- アジアの金融・プロフェッショナル分野の保険料率は、前四半期の3%の低下から、今期は6%の低下となりました。役員賠償責任保険(D&O)の保険料率は引続き低下し、保険会社のキャパシティも上昇しました。
- グローバルのサイバー保険の保険料率は、前四半期の2%低下に対し3%の低下となり、2018年以降で初めての2四半期連続の低下となりました。
- アジアにおけるサイバー保険の保険料率の上昇は±0となり、保険料率は安定し、引受キャパシティは概して増加しました。保険会社は、デジタル・サプライチェーンへの依存や戦争に関する免責について精査を強化しつつ、引き続きサイバーセキュリティ管理の向上を企業に求めています。
- 更改時には多くの地域で、インフレによる資産評価や保険金支払費用への懸念が注視されています。
本報告書について、マーシュのマーシュ・スペシャリティ部門およびマーシュ・グローバル・プレースメント部門の統括責任者であるパット・ドネリーは、次のよう述べています。「グローバルにおける経済情勢が不透明な今、顧客は保険料率の安定(特に財物保険)と、適切に管理されたリスクに対して、保険会社の競争力が高まることを歓迎するでしょう。2024年は地政学的にも経済的にも大きなチャレンジの年となることが予想されるため、顧客と緊密に協力することで、直面するリスクに対するレジリエンスを高め、保険市場の良い変化を活用できるようなソリューションを目指します。」