東京 2024年9月4日 | 保険仲介とリスクマネジメントの世界的なリーディングカンパニーMarsh(以下、マーシュ)が発表したマーシュ・グローバル・インシュランス・インデックス日本語版によると、2024年4-6月期(第2四半期)のグローバルベースでの企業向け保険料率は、増減±0%となり、2024年1-3月期の1%の上昇から低下しました。
グローバル市場における総合的な保険料率が、上昇を示さなかったのは 2017 年の第 3 四半期以来、約 7 年ぶりです。グローバルにおける財物保険の競争環境の高まりが要因となり、緩やかな上昇が続きました。
カナダ、パシフィック地域の総合的な保険料率は5%低下、英国とアジアは3%低下。米国と欧州は1%の上昇、ラテンアメリカ・カリブ海地域、インド、中東、アフリカ地域(IMEA)は4%の上昇となりました。
その他のトレンド
グローバルの財物保険の保険料率は増減±0%となり、2024 年1-3月期の3%、2023 年9‐12月期の6%上昇と比較すると低下となりました。地域別で見るとIMEA を除くすべての地域で低下、または緩やかな上昇をしています。保険会社も被保険者も、大西洋のハリケーンシーズンにより、巨大自然災害が事業にどのような影響を与えるかを注視しています。
アジアの財物保険の保険料率は2%の低下:財物リスクに関する保険会社間の競争が強まり、2024年4-6月期の保険料率は2四半期連続で前年同期に比べ低下しています。しかし、自然災害に晒されやすいリスク対象に関しては保険料率が引き続き緩やかに上昇しました。加えて、コスト抑制に向けて顧客が保険プログラムの再構成を検討および実施する中、キャプティブなどの代替的なリスクソリューションの導入が増加しました。
グローバルの賠償責任保険の保険料率は、過去6四半期と同様の3%の上昇となりました。カナダとアジアでは低下しましたが、英国とIMEAは増減±0%でした。保険会社は、米国の裁判における高額訴訟を引き続き懸念しています。
アジアの賠償責任保険の保険料率は1%の低下:国内市場とグローバル保険市場との間には、保険料率および補償範囲に差異が見られます。国内市場は標準的なリスクに競争力のある保険料率を提示した一方、グローバル市場はより複雑で国内市場では選択肢が限られるリスクに対して優位でした。また、保険会社は北米でのエクスポージャー水準に対して引き続き慎重な姿勢を示しています。
グローバルの金融・プロフェッショナル分野の保険料率は8四半期連続で低下し、グローバル市場では5%低下、他の全ての地域でも同様で、米国、英国、カナダ、欧州では前四半期(2024年1-3月期)に比べ保険料率の低下へのペースが鈍化したものの、その他の地域では加速しました。
アジアの金融・プロフェッショナル分野の保険料率は9%の低下:会社役員賠償責任(D&O)保険が引き続き大きな要因となり、金融・プロフェッショナル分野の保険料率全体が低下しました。また、D&O保険の引受キャパシティが潤沢であったため、保険会社間の競争が高まりました。
グローバルのサイバー保険の保険料率はグローバルでは前四半期と同様に6%低下し、すべての地域でも低下しました。保険会社は引き続きサイバーセキュリティの管理に重点を置いており、前年同期比での改善を求めています。
アジアのサイバー保険の保険料率は6%の低下:シンガポール市場での新たな引受キャパシティおよびロンドン市場からの関心の高まりを受け、引受キャパシティの増加および競争の活発化が見られました。保険会社は引き続き、AIの活用に関連するリスクに注力しています。
本報告書について、マーシュのマーシュ・スペシャリティ部門およびマーシュ・グローバル・プレースメント部門の統括責任者であるPat Donnellyは、次のよう述べています。
「過去数年間、グローバル市場における総合的な保険料率は緩やかな推移が続き、2024年4-6月期も同様に穏やかな動きとなりました。一部の保険種目で料率の上昇が続く中、私たちは、お客様が現在直面している複雑な問題に対処し、リスクファイナンスをサポートする大切な機会だと考えています」