東京 2024年6月5日 | 保険仲介とリスクマネジメントの世界的なリーディングカンパニーMarsh (以下マーシュ) が発表したマーシュ・グローバル・インシュランス・インデックス日本語版によると、2024年1-3月期(第1四半期)のグローバルベースでの企業向け保険料率は、1%の上昇となり、2023年10-12月期の2%から低下しました。
保険料率は今期もほぼ全地域で安定した推移となり、第1 四半期は大半の地域で低下となりました。金融・プロフェッショナル保険やサイバー保険市場の料率が低下傾向であることと、グローバルにおける財物保険の競争環境の高まりが要因となりました。
英国、アジア、パシフィック地域、カナダ、インド、中東、アフリカ地域の総合的な保険料率は2%の低下でした。保険料率について、米国とヨーロッパは3%の上昇、ラテンアメリカ・カリブ海地域は5%の上昇となりました。
その他のトレンド
・ グローバルの2024年1-3月期における財物保険の保険料率は3%の上昇となり、前期(2023年10-12月期)の6%より低下しました。米国では、メキシコ湾、大西洋岸、カリフォルニアなどの巨額自然災害が予想される地域に資産が集中している企業においては、近年の保険料率の上昇と比べ、緩やかな料率の上昇、あるいは料率の低下が見られました。
・アジアの財物保険料率は1%の低下となりました。日本や台湾、フィリピンなどの巨額災害(CAT)のエクスポージャーが高い地域や、重大な事業中断(BI)へのエクスポージャーが高いテクノロジー関連などの一部業種はその例外となりました。保険会社は保険金額の適正性、および、BIの算出方法の理解を深める取り組みを継続しています。
・グローバルにおける賠償責任保険の保険料率は、過去5四半期と同様に3%の増加となりました。主な要因としては、米国の評決額の大きさに対する懸念です。
・アジアの賠償責任保険の保険料率は1%の低下となり、賠償責任保険市場は引き続き安定して推移しました。国内およびグローバルな保険会社が十分な引受キャパシティを擁していることを主な要因として、特定の市場や地域にエクスポージャーが限定しているケースでは、料率の低下が見られました。保険会社は、北米でのエクスポージャー水準や自動車・テクノロジー・石油・ガス業界などのクリティカルな製品、業種に対して引き続き慎重な姿勢でした。
・グローバルにおける金融・プロフェッショナル分野の保険料率は、7 四半期連続で保険料率が低下しました。特に米国、英国、パシフィック地域、カナダでは、料率の低下と競争環境の高まりにより、前四半期(2023年10-12月期)の6%低下に比べ、今期は7%の低下となりました。
・アジアの金融・プロフェッショナル分野の保険料率は、6%の低下となりました。上場/非上場企業向けの会社役員賠償責任(D&O)保険や企業向け専門職業賠償責任保険(PI)、金融機関向け保険において、多くの顧客の保険料率が低下し、犯罪保険などの種目では横ばいとなりました。保険会社は、特に暗号関連の資産に慎重な姿勢を示しています。
・グローバルにおけるサイバー保険料率は、2023年10-12月期の3%低下に続いて6%の低下となりました。保険会社は、さらに企業のサイバーセキュリティマネジメントを注視しており、前年比較での改善を求めています。
・アジアのサイバー保険の保険料率は3%の低下となりました。保険会社は引き続き、リスク管理が強固な企業との引受けに意欲的です。保険会社は、ランサムウェアとサプライチェーンへの攻撃を引き続き警戒しています。
本報告書について、マーシュのマーシュ・スペシャリティ部門およびマーシュ・グローバル・プレースメント部門の統括責任者であるパット・ドネリーは、次のよう述べています。「緩やかな保険料率の動きが続く中、特に適切に管理されたリスクに対して、保険会社の意欲が高まることは、経済情勢と地政学上の大きな不確実性に直面し続ける顧客にとって歓迎されるでしょう。急速に変化するリスク情勢の中で、企業はリスク管理能力を向上させ、グローバルなショックに対するレジリエンスを高める必要に迫られています。私たちは顧客と緊密に協力することで、保険市場の継続的な変化があったとしても、顧客がこうした課題をうまく切り抜け適切なソリューションが得られることを目指しています。」